定款作成日と会社設立日の違い|どちらが先か・書類にどちらを書くか・作成日を空けない理由
この記事で扱う日付
- 定款作成日定款に記載した作成の日付
- 定款認証日公証人が認証した日(株式会社)
- 登記申請日法務局が申請を受け付けた日
- 設立日(会社成立の年月日)原則は設立登記申請の受付日。休日指定の特例では指定した休日。登記簿の「会社成立の年月日」欄
この記事は、こんな方に向けて書いています
定款の案を作り終えて「この日付が会社の誕生日になるのだろうか」と迷っている方、届出書の欄にどちらの年月日を写せばよいか確かめたい方に向けて書きました。先に結論の土台を置くと、会社が生まれるのは定款に署名した時点ではありません。本店所在地で設立の登記をした時に成立し、登記簿に残る会社設立日は、原則として登記所が申請を受け付けた日です(2026年2月2日以後に休日指定の特例を使えば、求めた休日の日付)。登記が完了した日でもありません。作成日は2026年(令和8年)10月17日、公証人連合会・法務局・国税庁・e-Gov法令検索の原文を開いて確かめた範囲で書いています。
定款作成日と会社設立日の違い|決まる仕組みが別の二つの日付

定款作成日は、会社の規則を書面(または電子データ)にまとめ、発起人や社員になろうとする人の全員が署名・記名押印した日です。株式会社なら会社法26条1項、合同会社なら575条1項が、この「作成」と「全員の署名又は記名押印」を求めています。つまり作成日は、自分たちの手で決める日付です。
一方の会社設立日は、自分たちの手だけでは決まりません。法務省が2026年1月に出した通達は、設立の登記では申請の受付の年月日と同じ年月日が「会社等成立の年月日」として登記簿に記録されている、と現在の扱いを確認しています。申請書を出す日を選ぶことはできても、その日付を記録として刻むのは登記所の受付です。

この違いから、二つの日付には「作成日が先、設立日が後」という並びが生まれます。定款が無ければ設立の登記を申請できないからです。逆に、設立日が先に来て定款作成日が後になる並びは、日付の上で成り立ちません。
もう一つ押さえておきたいのは、会社設立日を「定款の効力が生じた日」と言い換えないことです。株式会社の定款は公証人の認証を受けて効力を生じ(30条1項)、会社そのものは登記で成立します。似た言葉が続くので、会社設立日と定款の日付のカテゴリーでは、作成・認証・成立を一語ずつ分けて扱っています。
確認2026.10.17出典:商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)令和8年1月21日 法務省民商第9号(法務省)
定款作成日はいつになるか|署名がそろった日と作成日付の書き方

定款作成日は、案が出来上がった日でも、印刷した日でもなく、作成者全員の署名または記名押印がそろって定款が「作成された」日と考えるのが自然です。末尾の一文(「この定款を作成し、発起人が次に記名押印する」など)の直後に置かれる年月日が、その日付を表します。
日本公証人連合会の「9-4 定款認証」は、この年月日について「作成日付は、記載するのが普通です」と書き、さらに、その日付は認証の日より前になるとも説明しています。株式会社の作成日付が公証人の認証を追い越すことはない、という意味です。
- 紙の定款
- 作成者全員が署名または記名押印した日を末尾に書く
- 電子定款
- PDFで作成し電子署名をする。末尾の日付の意味は紙と同じ
- 作成者が複数
- 最後の一人の署名がそろう日を作成日にそろえると、前後の説明がしやすい
- 代理人が作成
- 定款作成代理人が作成する場合も、末尾に作成した日を書く
作成者が離れた場所に住んでいて、署名の日がばらばらになることもあります。その場合にどの日付を書くべきかを定めた原文は見当たりませんでした。後で日付の前後を説明できるよう、署名がそろった日を作成日とし、その日が認証の日(株式会社)や登記の申請日より前になっているかを確かめておくと安全です。判断に迷えば、認証を受ける公証役場に確認してください。
定款作成日は、会社の歴史の中では「会社が生まれる前の準備の日」です。会社概要や沿革にこの日付を書くと、会社設立日と取り違えられやすくなります。沿革に載せたいなら、「定款作成」と出来事を添えて書き分けましょう。
確認2026.10.17出典:9-4 定款認証(定款の作成日付・認証が要る定款と要らない定款)(日本公証人連合会)
定款作成日から会社設立日までの順番|株式会社と合同会社の違い

定款作成日と会社設立日のあいだに何が入るかは、会社の種類で違います。株式会社の場合、発起人が作った定款は公証人に認証してもらうまで効力を持たない(会社法30条1項)ため、作成日と設立日のあいだに認証の日が必ずはさまります。合同会社の定款は認証の対象外です。

合同会社の場合、法務省の「合同会社の設立手続について」が、社員になろうとする人は定款を作った後、設立の登記をする時までに出資の全額を払い込む(または給付する)必要があると案内しています(会社法578条)。並びは「定款作成日→払込み→登記申請日(=会社設立日)」の三段です。払込みの日付が定款作成日より前になると、条文の「作成後」と合わなくなります。
| 会社の種類 | 作成日と設立日のあいだに入る日付 | 前後のきまり |
|---|---|---|
| 株式会社 | 公証人の認証の日・払込みの日 | 作成日は認証の日より前(同日を含む) |
| 合同会社 | 払込みの日 | 払込みは定款の作成後、登記の時まで |
どちらの会社でも、最後に来るのは会社設立日です。株式会社には、会社法911条1項が設立の登記の申請期限(調査の終了日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から二週間以内)を置いています。期限の数え方は申請日・受付日・完了日の違いとあわせて確かめてください。
確認2026.10.17出典:合同会社の設立手続について(法務省)
定款作成日と会社設立日を同じ日にできるか

「定款作成日を会社設立日と同じ日付にしたい」という相談は少なくありません。日付の順番が「作成→(認証)→申請」と守られていれば、同じ暦の日に重なること自体を禁じる原文は見当たりませんでした。ただし、会社の種類ごとに越えなければならない段差があります。
合同会社では、定款への署名、出資金の払込み、申請書の提出を一日で済ませる組み立てが考えられます。それでも「定款の作成後」に払い込む決まりは同じ日の中でも変わりません。払込みの記録に残る時刻や日付が、定款の作成より前に見えないかを確かめておきます。
株式会社で同じ日を狙うなら、認証もその日に済ませなければなりません。オンラインで認証と登記を一緒に申し込む方法について、法務省は、認証がその日のうちに済まないと認証の日付が成立の日付より後ろにずれてしまい、登記の申請は却下されると説明しています。作成・認証・申請を一日に重ねる計画は、当日中の認証が欠けると成り立ちません。
同じ日にこだわる前に
公証人連合会の定款作成支援ツールのマニュアルは、定款作成日について「認証を受ける日よりも前の日付であっても問題ありません」と書いています。作成日を会社設立日に無理に寄せる必要はなく、署名した実際の日を書けば足ります。
- 定款作成日を会社設立日より後の日付に書き直してもよいですか。
- 会社は登記の申請時点で定款があることを前提に成立するので、作成日が設立日より後になる並びは説明がつきません。日付の誤りに気づいたら、どの書類をどう直すかを公証役場や法務局に相談してください。
- 定款作成日から会社設立日まで、何日あけなければならないという決まりはありますか。
- 作成日から申請日までの最低日数を定めた原文は見当たりませんでした。株式会社には911条1項の申請期限(調査の終了日などから二週間以内)があるため、段取り全体の日程には注意が要ります。
- 定款作成日が土曜日や日曜日でも構いませんか。
- 定款の作成は登記所の受付とは関係がないため、作成日が休日に当たること自体を禁じる原文は見当たりませんでした。休日指定を使う場合に限っては、作成日が申請日より後にならないことが条件になります。
記念の意味で日付をそろえたいなら、定款作成日ではなく会社設立日のほうを意味のある日に合わせるのが本筋です。設立日の選び方そのものは会社設立日の決め方で、候補日の比べ方から扱っています。
確認2026.10.17出典:オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請の取扱いを開始しました(法務省)
休日を会社設立日にするときの定款作成日

2026年2月2日から、土日・祝日・年末年始といった行政機関の休日を会社設立日として求められるようになりました。このとき定款作成日をどこに置くかで迷う方がいます。答えは「実際に申請する日まで」です。
法務省の案内によれば、特例を使う場合でも、申請書に付ける書類はこれまでと同じく申請の日までに作ったものでなければなりません。会社設立日が休日になっても、申請は直前の開庁日に行うので、定款の作成日はその申請日以前でなければなりません。休日の日付を定款作成日として書き込むと、申請日より後の日付の書類を添付することになってしまいます。

年末年始の休日は12月29日から1月3日までで、この例では直前の開庁日が12月28日(月)です(行政機関の休日に関する法律1条、内閣府の祝日一覧で2026年10月17日に確認)。株式会社なら認証もこの日までに済ませます。休日指定の要件そのものは休日を会社設立日に指定する方法で、条文と法務省の案内に沿って整理しています。
確認2026.10.12出典:行政機関の休日に関する法律(第1条)(e-Gov法令検索)
後の書類には定款作成日と会社設立日のどちらを書くか

会社ができた後、さまざまな書類で年月日を求められます。どちらを書くかは、欄の名前で決まります。「設立年月日」「会社成立の年月日」「設立日」とあれば会社設立日、「定款作成日」「作成年月日」とあれば定款の末尾の日付です。
分かりやすい例が税務署への法人設立届出書です。国税庁の記載要領は、「設立年月日」欄には「登記簿に記載されている登記年月日を記載してください」と指示しています。同じ届出書には定款等の写しを添付するよう求めており、写しの末尾には定款作成日が載っています。一つの提出物の中に二つの日付が並ぶので、欄に写す日付を取り違えると食い違いが目立ちます。

会社設立日は、申請の時点ではまだ「予定日」です。届出書などは、登記が済んで登記事項証明書で「会社成立の年月日」を確かめてから書くと、予定日と実際の受付日のずれを防げます。証明書のどこを見ればよいかは証明書の欄の見方にまとめました。
各届出の提出期限は、会社設立日を起点に数えるものが多くあります。どの届出をいつまでに出すかは、姉妹サイトの「設立後の手続き」の担当なので、ここでは「起点は定款作成日ではなく会社設立日」という点だけ覚えておいてください。
確認2026.10.17出典:法人設立届出書の記載要領等(「設立年月日」欄・「事業開始(見込み)年月日」欄)(国税庁)
定款作成日を空欄にしない理由|原文で確かめられたこと

定款の案を作るとき、会社設立日が決まるまで作成日を空けておきたくなるかもしれません。会社法26条1項や575条1項の文言が求めているのは作成と署名・記名押印で、条文に日付の文言は出てきません。それでも作成日を書くべきだと考えられる理由は、原文から少なくとも三つ挙げられます。
- 日本公証人連合会が「作成日付は、記載するのが普通です」とし、その日付は「認証する日よりも以前の日」になると説明している(株式会社では、認証との前後を示す日付になる)
- 合同会社では、会社法578条が払込みを「定款の作成後」と定めている(作成日がなければ、払込みとの前後を書類の上で示しにくい)
- 休日指定でも、添付書面は「申請の日までに作成したもの」とされている(作成の日付が申請日以前であることを示す材料になる)
公証人連合会の定款作成支援ツールのマニュアル(2024年2月8日版)も、入力項目として「定款作成日」を置き、「定款を作成した日を入力してください」と案内しています。同じツールには「設立登記申請予定日」の欄もありますが、これは最初の事業年度を自動計算するための項目で、「出力される定款に、設立登記申請予定日が記載されるわけではありません」と明記されています。
このマニュアルの書き方からも、定款に書くのは作った日で、会社設立日は定款の外で決まる、という役割分担が読み取れます。会社設立日を待って作成日を後から埋める、という段取りは、この分担と逆向きです。
定款は、会社ができた後も本店に備え置かれます(会社法31条1項)。何年も後に読み返したとき、作成日・認証の日・会社設立日が正しい順に並んでいれば、会社の始まりを説明する資料としてそのまま使えます。
確認2026.10.17出典:定款作成支援ツールの操作マニュアル(2024年2月8日版)(日本公証人連合会(法務局ホームページ掲載))
まとめ|定款作成日は先に、会社設立日は後に確定する

定款作成日は、作成者全員が署名・記名押印して定款が出来上がった日で、定款の末尾に書きます。会社設立日は、本店所在地での設立の登記によって会社が成立した日で、登記所が申請を受け付けた日付(休日指定なら求めた休日)が登記簿の「会社成立の年月日」に記録されます。商業登記規則の別表を見ると、株式会社の登記簿(別表第五)にも合同会社の登記簿(別表第八)にも、商号区の記録事項として「会社成立の年月日」が置かれています。
- 並びは「定款作成日→(株式会社は認証の日)→登記申請日=会社設立日」
- 合同会社は認証がなく、払込みは定款の作成後、登記の時まで
- 同じ日に重ねるなら、株式会社は当日中の認証が前提
- 休日を会社設立日にしても、定款作成日は申請の日まで
- 「設立年月日」欄には登記簿の日付、「作成日」欄には定款の末尾の日付
- 作成日は空けずに、署名がそろった実際の日を書く
定款の中にはほかにも、事業年度や「成立の日から」と書かれた附則など、会社設立日とつながる日付が出てきます。その読み方は、定款の日付のカテゴリーから順にたどってください。第1期の長さや決算月との関係が気になる方は会社設立日と決算日へ進むと、定款の事業年度と登記の日付を並べて確かめられます。
確認2026.10.17出典:商業登記規則(別表第五 株式会社登記簿・別表第八 合同会社登記簿)(e-Gov法令検索)
日付と根拠を確かめる
定款作成日と会社設立日は、片方が決まればもう片方が自動で決まる関係ではありません。作成日は自分たちが署名した日として先に確定し、会社設立日は申請が受け付けられた日として後から確定します。手元のメモに「作成日」「(株式会社なら)認証の日」「申請予定日」を一行ずつ書き、前後が入れ替わっていないかを見直してから書類を仕上げてください。迷う箇所が残ったら、定款は公証役場、登記は管轄の法務局に、どの書類のどの欄の話かを添えて尋ねると答えが早く返ってきます。
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