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創業日と設立日の違い|会社設立日は登記で一つ、創業日は根拠を決めて書く

作成 確認・更新 約10分 『会社設立日の決め方帖』編集部

この記事で扱う日付

  • 設立日(会社成立の年月日)原則は設立登記申請の受付日。休日指定の特例では指定した休日。登記簿の「会社成立の年月日」欄
  • 創業日前身の事業も含めて始まった日として会社が名乗る日
  • 事業開始日実際に事業を始めた日

この記事は、こんな方に向けて書いています

個人で始めた事業を会社にしたばかりで、名刺やホームページに「創業」と「設立」のどちらを載せるか迷っている方、取引先の申込書で二つの年を書き分けるよう求められた方に向けて書きました。前提として、会社は本店の所在地で設立の登記をしたときに生まれ、その日付が登記簿の「会社成立の年月日」、つまり会社設立日になります。原則は法務局が設立登記の申請を受け付けた日で、2026年2月2日に始まった休日指定の取り扱いを使った場合は申請書で指定した休日です。審査が終わった登記完了日は含みません。本文は2026年(令和8年)10月17日に確認した公的資料と各社の公開情報にもとづいています。

創業日と設立日の違い|会社が名乗る日付と、登記簿に記録される日付

名乗る日と記録される日。決め手が違う二つの始まり

創業日と設立日の違いを一言でいえば、「誰が決めるか」です。創業日は、事業を始めた日として会社自身が名乗る日付で、法律にこう決めなさいという定めはありません。会社設立日は、会社法が「設立の登記をすることによって成立する」と定めた、その成立の日です。株式会社は49条、合同会社などの持分会社は579条に同じ書き方があります。

この違いから、変えられるかどうかにも差が出ます。創業日は、会社が根拠にする出来事を選び直せば別の日付になり得ます。一方、会社設立日は登記簿に記録された会社成立の年月日がすべてで、会社の判断で書き換えることはできません。

創業日と設立日を、決める人・法律の定め・裏付けの資料・選び直せるかで比べた図

もう一つの違いは、日付の細かさです。会社設立日は年月日まで一つに決まりますが、創業日は「明治二十二年九月」のように年と月までしか分からないことも珍しくありません。古い家業ほど、始まりの日を記録した書類が残っていないからです。

言葉の意味から順に確かめたい方は会社設立日とはどの日かを、創業日・創立日・設立日をまとめて比べたい方は親のカテゴリー会社設立日と創業日を先に読むと全体がつかめます。

確認2026.10.12出典:会社法(第49条・第579条・第30条・第911条)(e-Gov法令検索)

創業日の根拠を一つ決める|候補になる出来事と資料

創業日の根拠を選ぶ。出来事と資料を一対に

創業日を名乗るなら、最初にやるべきことは「何をもって創業とするか」を社内で一つに決めることです。候補はいくつもあり、どれを選んでも間違いではありません。ただ、資料によって日付がばらばらになるので、決めておかないと会社案内とホームページで創業年が食い違う原因になります。

どれを選ぶかは会社の判断です。選んだ理由と資料名を残しておきます。
創業の基準にする出来事 手元に残りやすい資料 日付の細かさ
個人で事業を始めた 開業の届出の控え 年月日
最初に売上が立った 請求書・領収書の控え 年月日
店舗や事務所を借りた 賃貸借契約書 年月日
屋号で名乗り始めた 名刺・看板の写真など 年または年月

個人事業の開業の届出について、国税庁は「新たに事業を開始したとき」などに行う手続きと説明しています。控えが残っていれば、創業日の根拠として説明しやすい資料の一つです。ただし届出をした日と実際に仕事を始めた日がずれていることもあるので、控えに書いた日付と提出日のどちらを使うかまで決めておきます。

決めたら一行で記録する

「当社の創業日は○年○月○日。根拠は○○の控え。○年○月に役員会で確認」のように、日付・根拠・決めた時期を一行にまとめておくと、担当者が替わっても同じ答えが出せます。

根拠を選ぶときは、社外の人が見ても同じ日付を読み取れる資料を優先すると、後で説明に困りません。社内の記憶や関係者の話だけに頼ると、人によって覚えている年が一年ずれていた、ということが起こりがちです。あとから古い請求書が見つかり、創業年を繰り上げたくなったときは、決め直した日と理由を記録に足し、会社案内・ホームページ・名刺を同じ時期に直します。一部だけ直すと、新旧二つの創業年が世に出回ってしまいます。

会社設立日のほうは、この作業は要りません。登記事項証明書を一通取り、会社成立の年月日の欄を写せば終わりです。二つの日付で準備の手間が大きく違うことも、創業日と設立日の違いの一つといえます。

確認2026.10.17出典:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)

創業から設立までの間隔を数える|実例でみる年数の差

創業から設立まで。間隔は会社ごとに違う

創業日と会社設立日のあいだが何年あるかは、会社の歩みによって大きく違います。公開されている会社概要や沿革を読むと、その幅がよく分かります。

任天堂の会社概要には、「創業」の欄に明治22年9月、「設立」の欄に昭和22年11月と、二つの欄が並んでいます。西暦に直すと1889年9月と1947年11月で、間隔は58年2か月です。どちらの欄も年と月までの表記で、日までは書かれていません。

もう一つの例は、ネームプレートなどを製造する研創です。有価証券報告書の沿革を年表にしたページでは、1908年に初代が広島市でネームプレート製造業を始め、代々事業を受け継いだのち、1971年9月に株式会社広島研創を設立したと書かれています。家業として始まってから株式会社になるまで、およそ63年です。

創業と設立の年月を西暦にそろえ、引き算して間隔を出し、日が分からなければ月までで止める手順

和暦の欄をそのまま引き算すると、明治と昭和のように元号をまたいだときに計算を誤りやすくなります。いったん西暦にそろえてから差を出すのが安全です。また、創業の側が年までしか分からないときは、間隔も「約63年」のように丸めて書き、日数まで出したように見せないことが大切です。

逆に、会社として準備を進め、設立の登記をしてから営業を始めた会社では、創業と設立がほぼ同じ時期になります。間隔がゼロに近いこと自体は珍しくなく、その場合は創業の欄を設けず、会社設立日だけを載せる会社もあります。

確認2026.10.17出典:会社情報:会社概要(創業・設立の欄)(任天堂株式会社)

個人事業から会社にした場合|創業日は動かず、会社設立日が新しく生まれる

法人化と二つの日付。個人の始まりは残る

個人で事業をしてきた人が会社をつくると、事業そのものは続いていても、法人としては登記の日に新しく生まれます。創業日は個人で始めた日のまま動かず、その上に会社設立日が一つ加わる形です。二つの日付が並ぶのは、この仕組みからくる自然な結果です。

ここで迷いやすいのが、税務署に出す法人設立届出書の欄です。国税庁の記載要領は、「設立年月日」欄には「登記簿に記載されている登記年月日を記載」、「事業開始(見込み)年月日」欄には「設立後、事業開始した年月日又は事業開始見込みの年月日を記載」するよう求めています。

設立年月日の欄
登記簿の日付。会社設立日をそのまま写す
事業開始(見込み)年月日の欄
記載要領の文面は「設立後」に事業を始めた日
個人で始めた日
この届出書の欄としては文面に出てこない

屋号をそのまま会社の商号にした場合も同じです。名前が個人時代から変わっていなくても、登記簿に記録される会社成立の年月日は設立の登記をした日で、屋号を使い始めた日までさかのぼるわけではありません。名前の連続性は沿革で、法人としての始まりは会社設立日で伝える、と役割を分けて考えると整理しやすくなります。

記載要領の文面を読む限り、どちらの欄も会社になったあとの日付を前提にしています。個人時代の創業日を書き込む欄としては用意されていないので、創業の歴史は会社案内や沿革の側で伝えることになります。迷ったときは所轄の税務署に確かめてください。届出そのものの期限や出し方は、設立後の手続きを担当する姉妹サイトのテーマです。

なお、事業開始日をいつにするかや、開業日との関係は会社設立日と開業日のカテゴリーで扱っています。創業日・事業開始日・会社設立日の三つは、似ていても入る欄がそれぞれ違います。

確認2026.10.17出典:法人設立届出書の記載要領等(「設立年月日」欄・「事業開始(見込み)年月日」欄)(国税庁)

「創業○年」「設立○年」「第○期」は数え方が違う

三つの数え方。年数と期は別に数える

創業日と会社設立日がずれている会社では、年数を数える物差しが三つできます。創業から何年か、設立から何年か、そして事業年度で数えて第何期か、です。三つを混ぜると、会社案内の「創業○年」と決算書の「第○期」がかみ合わないように見えてしまいます。

架空の例で数えてみます。2019年6月に個人で開業し、2023年10月2日(月)に会社設立日を迎え、決算日を3月31日とした会社です。基準日を2026年10月17日とします。

架空の会社で計算した例です。数え方の前提は本文のとおりです。
物差し 起点 2026年10月17日時点
創業から 2019年6月 7年4か月(8年目)
設立から 2023年10月2日 3年(4年目)
事業年度 2023年10月2日 第4期
第4期の期間 2026年4月1日 2027年3月31日まで

第何期かの起点は、国税庁の法人税基本通達が設立後最初の事業年度は「設立の日」から始まるとしているとおり、会社設立日です。この例では第1期が2023年10月2日から2024年3月31日までの約6か月、第2期と第3期がそれぞれ1年で、2026年4月1日から第4期に入っています。創業日は、期の数え方には関わりません。

「○年目」と「満○年」も取り違えやすい言い方です。2026年10月17日は設立からちょうど3年を過ぎたところで、「設立4年目」とも「設立満3年」とも言えます。どちらで書くかを社内でそろえておくと、資料ごとに数字がずれません。第1期の長さの数え方は初年度の期間の数え方、決算日との組み合わせは会社設立日と決算日でくわしく扱っています。

確認2026.10.14出典:法人税基本通達 第2節 事業年度(1-2-1 設立第1回事業年度の開始の日)(国税庁)

会社概要・名刺・ウェブサイトでの書き分け

欄名で伝わる意味。創業と設立を別の行に

会社概要の表に二つの日付を載せるときは、行を分け、欄の名前で意味がはっきり伝わるようにします。創業の行には根拠に合わせた細かさの日付を、設立の行には登記簿の会社成立の年月日を入れます。

創業の行の書き方

  • 個人時代なら「(個人事業として)」と添える
  • 根拠が月までなら月で止める
  • 屋号が違えば当時の名を添える

設立の行の書き方

  • 登記事項証明書の会社成立の年月日を写す
  • 年月日まで書いてよい
  • 和暦・西暦は社内でそろえる

名刺やメールの署名のように場所が限られるときは、どちらか一つに絞る会社も多いでしょう。そのときは「創業2019年」のように語を省かずに書きます。数字だけの「Since 2019」は、読み手には創業なのか設立なのかが伝わりません。英文で書くときも、創業と設立で別の語を使い分ける必要があり、その対応は英語表記のカテゴリーで整理しています。

会社概要に日付を載せる前に確かめること(左)と、避けたい書き方(右)を分けた表

会社設立日を写すための登記事項証明書は、法務省の案内によれば、どなたでも所定の手数料を納めて交付を請求でき、最寄りの登記所から他の登記所が管轄する会社のものを取ることもできます。ホームページを作り直すたびに古い資料から写すのではなく、手元に一通置いて、そこから写す習慣にしておくと誤記が防げます。

確認2026.10.15出典:会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ(法務省)

取引先・調査票で聞かれたら|どちらの日付を答えるか

聞かれた日付を答える。欄の定義を先に読む

外部から日付を尋ねられたときは、欄の名前と定義を読んでから答えます。「設立年月日」「設立日」とあれば会社設立日、「創業」とあれば会社が決めた創業日が基本です。どちらとも読める「創立」や「業歴」の欄は、記入要領や担当者に確かめてから書きます。

統計調査では、同じ会社でも項目によって答えが変わることがあります。総務省の経済センサス‐基礎調査の「開設時期」は、事業所が現在の場所で事業を始めた時期を聞く項目で、e-Statの定義には、個人経営から会社組織に変更したが経営者が同じ場合はその時期を開設の時期としない、と書かれています。会社にした日ではなく、もとの開設時期を答える場面があるということです。

Q. 口座開設の申込書の「設立日」に創業日を書いてもよい?

A. 設立日の欄には、登記事項証明書の会社成立の年月日を書きます。創業の歴史は別の欄や会社案内で伝えます。

Q. 融資の書類の「創業」は会社設立日のこと?

A. 制度ごとに定義が違います。補助金・支援制度を担当する姉妹サイトや、申込先の記入要領で確かめてください。

Q. 過去の回答と年が違ってしまったら?

A. 項目の定義が違えば矛盾とは限りません。どの項目にどの日付を答えたかを控えておくと説明しやすくなります。

答えた内容は、項目名と答えた日付を一覧にして残しておくと便利です。次に同じ調査や申込書が届いたとき、創業日と会社設立日のどちらを使ったかがすぐ分かり、年ごとに答えがぶれるのを防げます。

確認2026.10.17出典:経済センサス‐基礎調査の調査項目「開設時期」(政府統計の総合窓口 e-Stat)

まとめ|創業日には根拠を、会社設立日には登記事項証明書を添える

二つの日付の整え方。根拠を一言ずつ

創業日と設立日の違いは、名乗る日付か、登記で記録された日付かという点にあります。創業日は会社が根拠を選んで決め、会社設立日は会社成立の年月日として一つに決まっています。違う日付が並んでいても、どちらかが誤りというわけではありません。

創業の根拠を決める、設立日を証明書から写す、年数の数え方をそろえる、欄の定義を読むの四つの作業
  1. 創業の基準にする出来事と資料を一つ決め、一行で記録する
  2. 登記事項証明書で会社成立の年月日を確かめる
  3. 創業から設立までの間隔を西暦で計算しておく
  4. 「○年目」「満○年」「第○期」の言い方を社内でそろえる
  5. 外部の書類は欄の定義を読んでから日付を写す

登記の記録は、法務局で証明書を取るほか、民事法務協会の登記情報提供サービスでも、法務局が保有する登記簿の情報として確かめられます。これから会社を設立する方は、創業日との組み合わせも考えながら会社設立日を選べます。創業の記念日に合わせたい日が土日や祝日に当たっても、成立の日として指定できる場合があります。要件は会社設立日と休日で確認してください。

確認2026.10.11出典:登記情報提供サービス(一般財団法人民事法務協会)

日付と根拠を確かめる

創業日と会社設立日のどちらが正しいかを決める必要はありません。必要なのは、創業日の横に「何をもって始まりとしたか」、設立日の横に「登記事項証明書の会社成立の年月日」と根拠を一言ずつ添えることです。手元の資料を一度見直して、二つの日付と根拠を同じメモに書き出してみてください。次に会社概要を直すときも、申込書の欄を埋めるときも、そのメモから写せば迷いません。

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